楽天が5日、Koboパーク宮城で行われていた秋季練習を打ち上げた。主将の嶋基宏捕手(32)は明日7日から、19日まで岡山・倉敷マスカットスタジアムで実施される若手主体の秋季キャンプに合流する。前日4日はソフトバンクの優勝をテレビ観戦して目に焼き付け、2度目の日本一に思いを強くした。

 秋風すさぶKoboパーク宮城で、熱く汗を流すベテランがいた。遊撃の位置でノックを受けた嶋は、華麗なフィールディングで次々と打球をさばいた。前日にソフトバンクの日本一を目に焼き付けた主将は短い言葉の中に、悔しさを詰めこんだ。「やっぱり、緊張感のある場所で試合をしたかった」。4年ぶりの日本シリーズ出場、そして日本一を逃した悔しさを胸に秘め、倉敷に入る。

 参加する29人中、最年長にあたる32歳の嶋が、若手主体の秋季キャンプに加わるのには理由があった。今季は112試合出場。1番茂木につなぐ右打ちや、バントなどの小技は健在だったが、打率は1割9分9里。秋季キャンプでは若手の手本になる前に、まず自分を磨き直す。

 嶋 最近、秋のキャンプに参加できていなかった。この年齢から、ひと花咲かせたい。もう1回体を鍛えないと、現役は長くできない。体力づくりや、打つ、投げる、走るなど、基礎などをやり直したい。

 ソフトバンクの強さが、それだけの危機感を募らせた。クライマックスシリーズでは2連勝スタートも、3連敗で幕を閉じた。嶋は胸の内を明かした。「打線は破壊力があるし、投手力がずば抜けている。序盤に点を許すと、後ろの投手から大量得点はとれない」。7月まで首位を走っていたが、8月に失速して2位陥落。9月には西武に抜かれ、最後は首位とのゲーム差を15・5まで広げられた。「シーズン中から感じる部分はあった。選手の層の厚さ、投手の力だったり。点差以上に力の差は感じてはいた」。追うべき相手が強いからこそ、燃える。実りの秋を過ごし、来年こそ、シリーズの舞台に立つ。【高橋洋平】