ようやく恋人を見つけた。宮崎秋季キャンプ。「次世代」の内野手レギュラー候補を探し求めていたソフトバンク達川ヘッドコーチのハートを、19歳の若きスラッガーがわしづかみにした。13日、午後からの特打ち。背番号「55」、2年目茶谷のパワーあふれる打撃を見守った達川ヘッドのメガネの奥は完全にハートマークだった。

 「スイングスピードが速いじゃろ。19歳でこんなヤツみたことないわ。2年目の鈴木誠也(広島)より上じゃ」。打撃マシンのボールは次々に柵越え。そのたびにケージ後方でOKマークをつくったり、おどけてみせたり、達川ヘッドは興奮気味だ。早くも来季オープン戦帯同にも合格判定を出すほどで「オープン戦では10試合は使ってみたい。キャンプのA組? それは監督と相談せんといかんけど、そうなるじゃろ」とノロケまくった。不動のサード松田に対しても「この打撃を見たらうかうかできんじゃろ」と高笑いだ。

 チームは2年ぶりの日本一に輝いたとはいえ、常勝チームを維持するために世代交代は大きな課題。逸材発掘を今キャンプの目的にしていた達川ヘッドにとっては収穫大の1日となった。茶谷は「まだまだです。がむしゃらに頑張ります」と、浮かれた様子はなし。背番号「55」にちなんで、ニックネームも「茶ゴジラ。これええかもなあ。ワシはもうキャンプ帰ってもええ」と、達川ヘッドはどこまでもご満悦だった。【佐竹英治】

 ◆茶谷健太(ちゃたに・けんた)1998年(平10)1月16日、神奈川県生まれ。帝京三から15年ドラフト4位入団。高校時代は投手。プロ1年目から内野手に転向。今季、10月8日の楽天戦(Koboパーク宮城)で則本からプロ初出場初打席で初安打を記録。今季のウエスタン・リーグ成績は66試合、227打数56安打、1本塁打、18打点、打率2割4分7厘。185センチ、81キロ。右投げ右打ち。