「左キラー」として活躍したソフトバンク嘉弥真新也投手(28)が8日、福岡市内の球団事務所で契約交渉に臨み、今季年俸2000万円から倍増となる4000万円(金額は推定)の提示を不服として保留した。交渉後の会見もキャンセル。異例の保留劇となった。

 交渉から約1時間30分後。報道陣が待ち受ける会見場に広報担当者が現れると「(嘉弥真は)球団と話をしに来ただけなので、と言い残して帰りました」と、苦笑いで説明した。交渉のテーブルについた三笠取締役も、「また話をしようということ。球団はいい評価をしていますので」と話したが、2年ぶりに日本一に輝いたチームにとって、今オフの保留第1号となった。

 嘉弥真は今季、自己最多の58試合に登板し、岩崎-サファテにつなぐ貴重なサウスポーとして活躍。身長173センチの小さな体に似合わず、度胸満点の投球でCSファイナルステージ、日本シリーズでも窮地を救った。それだけに「銭闘」でも引けない思いがあった。

 嘉弥真は「希望の額には届かなかった。だからもう1度、話そうということになりました」と話した。交渉中は2度の休憩を挟んで仕切り直ししたが、球団の財布のヒモは固かった。次回交渉はハワイV旅行後の20日の予定。そう簡単に引き下がるつもりはない。【佐竹英治】