原点回帰で巻き返す! 阪神岩田稔投手(34)が昔ながらのトレーニングで体を鍛え上げ、今季の逆襲を目指す。沖縄での自主トレ8日目となった13日、1本歯げたでの散歩に始まり、海岸を素足で走る砂浜ダッシュ、約20キロの砂袋を抱えてのダッシュ、素足でのキャッチボールを敢行した。「木造平屋理論」で基礎を固め、キャンプイン初日から全力でアピールする。

 誰もいない漢那ビーチで、岩田が靴と靴下を脱ぎ捨てた。散らばる石や貝殻を取り除くと、古風な練習のスタートだ。約25メートルの距離の砂浜ダッシュが始まった。思わず「よっしゃ~!」と声が出る。両足でがっしりと砂をつかまえ、グングン加速。息が上がって5本目を終えると、さらにメニューは古風になった。ホームセンターで購入した500円の袋に約20キロの砂を詰め、抱えて走りだした。

 「基礎が大事なので。ベースがしっかり出来ていないのに、新しいことをやっても一緒。確実なものを積み重ねるためにもですね」

 その後も砂浜で素足でキャッチボール。1球ごとに体の使い方を確認しながら投じた。球速より球持ちや体感速度を重視し「投げてる時間が長いフォーム」を意識する。古風トレは砂浜だけではない。起床すると1本歯のげたを履いて散歩。すれ違う外国人の二度見を受けながら、1歩1歩進む。基礎があれば崩れない。岩田らしく、鉄筋コンクリートではなく「木造平屋で」と表現する。

 丈夫な基盤は出来つつある。「去年よりは大分いいと思う。中身が1段階上がっている感じ」。下半身の筋力トレーニングで過去最高クラスの数値をたたき出し、キャンプインからのアピールを狙う。

 「1発目からちゃうな、というところを見せたい」。初日のブルペン入りは当たり前。9勝を挙げた14年よりも感覚は良いと言い「やるしかない。(シーズン)最初から最後まで投げる。チームに勝つチャンスがたくさん来る投球をしたい」と覚悟を口にした。

 昔かたぎの決意もある。中5日や中4日での登板も「体は強いから」と意に介さない。個人トレーナーである網川(旧姓稲川)翼氏も「引退するまで体はつぶれない」と太鼓判を押す。開幕ローテから、1年間守り続けて結果を出す。「自分らしくやな!」。固い決意を持って、岩田はまた砂浜を走りだした。【池本泰尚】