115キロの巨体が迷わずスタートを切った。キャンプ2日目、シート打撃で一塁走者になったロッテ井上は2死一塁、カウント1-1の場面で酒居のモーションを盗んだ。「あのタイミングしかないですね。セーフになって良かったです(笑い)」。走塁改革を掲げるチームの“今季1号盗塁”はまさかの重量級アジャ。井上にとっても“1軍初盗塁”となった。

 元横浜ヘッドコーチの島田誠臨時走塁コーチには「月1個で6盗塁」を厳命された。体重3ケタも関係ない。走ろうという意識付けが結果につながる。「グリーンライトを勝ち取れ」と話していた井口監督も「個人が1つ走ればチームの盗塁数は10、20と増える。スタートを切らないとコトは起きない」とうなずいた。

 もっとも、本来期待される役割は和製大砲。「盗塁1号より、1号本塁打を奪われちゃったことが今日一番、あ~って感じです」。うれしさよりも、目の前でルーキー藤岡裕に1発を見せつけられた悔しさが上回った。【鎌田良美】