スポーツ振興くじの対象にプロ野球が加わることになれば、長年の課題となっている野球振興のための財源確保が進む一方で、1969年に野球賭博に絡む八百長が発覚した「黒い霧事件」の反省から慎重な議論を望む声が根強いのも確かだ。

 これまでも64年東京五輪開催を前にしてスポーツ施設の拡充などを目指して議論が起きたが、プロ野球界は不正の温床となりやすい「くじ」からは一線を引いてきた。2001年にJリーグを対象としたスポーツ振興くじの販売が始まった際にも、プロ野球側の根強い反対で導入が見送られた。

 最近では15年に当時の五輪相を中心とした超党派のスポーツ議員連盟のプロジェクトチームが「野球くじ」導入を検討していることが表面化したが、当時の熊崎勝彦コミッショナーが「賛同できないという意見も多く、極めて慎重に検討していかざるを得ない」と反対を表明。その後、巨人の現役選手による野球賭博関与が発覚して改めて八百長を誘発する危険性が指摘された。

 野球離れに危機感を抱く日本野球機構(NPB)は野球振興に使うための資金調達を迫られている。だが、これまで国などから助成を受けておらず、助成金を受け取れば独立性を心配する意見もある。