日本ハムが3投手による無失点リレーで、開幕4戦目にして待望の今季初白星をつかんだ。3日楽天戦(楽天生命パーク)で、先発の上沢直之投手(24)が7回まで粘りの投球で試合を作り、ブルペンエース宮西尚生投手(32)、新守護神の高卒4年目、石川直也投手(21)へとつないだ。盤石リレーで息詰まる投手戦を制し、ようやく18年が“開幕”。新しい勝利の形が実を結び、これから一気に巻き返す。

 2点リードで迎えた9回、最後はブルペンの“末っ子”が圧巻の投球で締めた。高卒4年目、石川直の剛球がうなった。楽天の3番ウィーラーを150キロ直球で、4番アマダーには151キロ直球を見せてフォークボールを外角に落とす。1発のある中軸を2者連続空振り三振に仕留めるなど、危なげない投球でプロ初セーブを手にした21歳は「気持ちも入って、良い感じで力が抜けていて良かった」と、静かにほほ笑んだ。

 7回5安打無失点の先発、上沢は「相手のテンポにつられて良い投球ができた」と、楽天の岸相手に1歩も譲らず、互角の勝負を演じた。8回1死三塁のピンチを招きながら0点で切り抜けた中継ぎエース宮西は「ここで負けたら、どんどん連敗してしまう」。投手陣の思いが1つになった無失点リレーだった。

 開幕カードの西武戦(札幌ドーム)で、まさかの3連敗を喫した。石川直は2戦目の9回、味方が1点差に詰め寄った直後にマウンドに上がり、3ランを含む4失点。3戦目の9回も、2点ビハインドから救援し2安打1失点とふがいない結果が続いていた。それでも、栗山監督に迷いはなかった。「あそこは、もちろん石川直」。ブルペンには、オープン戦から無失点投球の新戦力右腕トンキンも控えていたが、早くも今季3度目のマウンドへ石川直を送り出した。

 リーグを代表する守護神だった増井がオリックスへFA移籍し、新たな守護神発掘が大きなテーマとなる今季。新守護神候補の力投に、栗山監督は「いろいろな経験をすることで、ああやって1つずつ前に進んで行けたらいい。それが(今後)チームの大きな力になる」。信じて、育てる。1度や2度の失敗も糧と見る栗山流の育成法が、若い力の才能を引き出している。

 今季開幕4戦目で待望の1勝。「まだ借金もあるので」と指揮官に笑顔はなかったが、揺るがぬ信念でつかんだ1勝にこそ、意味がある。【中島宙恵】

 ◆日本ハムのシーズン最初の無失点試合 今年は4試合目に継投でマークし、04年の北海道へ本拠地移転後は4番目の速さ。08年は開幕戦でダルビッシュが完封でロッテに1-0の勝利。07年は開幕2戦目に延長12回の末、0-0の引き分けだったが、ゼロ封している。16年は開幕3試合目、有原-増井のリレーで完封勝利。移転後初の日本一だった06年の6試合目など、開幕から1桁の試合数で無失点試合を達成したシーズンは過去7度あるが、すべてAクラスでレギュラーシーズンを終えている。