19歳の好投で、DeNAが01年以来17年ぶりの8連勝を飾った。先発した京山将弥投手が、5回2/33安打1失点でリーグ最多の3勝目を挙げた。プロ初登板から3連勝はドラフト制度後に入団した投手では8人目。故障者続出で開幕前に急きょローテーションに入った右腕がひょうひょうと投げて勝つさまに、ラミレス監督も驚きを隠せなかった。6-1で中日を退けたDeNAは貯金を4に増やし、単独首位をキープした。

 感情が見えてこない。ひょうひょうと投げる京山が中日打線を封じ込める。6回、アルモンテに唯一の失点となる1発を浴びた時も淡々とマウンドを足でならした。抑えても喜ばない、打たれても悔しがらない。喜怒哀楽をあらわにせず98球投げ抜いた。「7連勝していたプレッシャーを感じて『自分で途絶えたらイカンな』と、プレッシャーを力に変えました」と言ったが、お立ち台に立っても顔に汗はかいていなかった。

 1回に2点の援護を受ける展開に「気持ちが楽になりました」。その言葉通り2、3、5回は3者凡退。得点圏に走者を背負った4回2死一、二塁は、チェンジアップで高橋を空振り三振に仕留めて切り抜けた。直球にチェンジアップとスライダー、カットボールの配球で翻弄(ほんろう)。初登板から3連勝は、史上8人目の快挙となった。

 喜怒哀楽を出さないわけではない。近江(滋賀)3年の夏の甲子園では初戦敗退に涙を流して悔しがった。普段は大好きなお笑いコンビ千鳥の漫才を見て笑う。だが、マウンドではポーカーフェースを貫く。木塚投手コーチは「19歳であの顔で投げちゃうんだからすごい」。ラミレス監督も「7連勝していた気配を感じさせないくらい落ち着いている。今やうちのトップ3の先発投手といっても過言ではない」と驚いた。

 前回、2勝目を挙げた4月8日の広島戦前のミーティング。ロッカー室で主将の筒香が、西崎マネジャーの誕生日だと切り出した。実はここ2年勝っていなかったラミレス政権の“厄日”だったが、主砲の2発という後押しを受けた京山は5回2/3を無失点で2勝目。西崎マネジャーに「(初勝利の)1個あるんであげます」とウイニングボールをプレゼントした。早くも3つ目を手にし「どうしようか迷っています」とうれしい悩みになっている。

 勝ち星、防御率でリーグトップに立つ。それでも京山は「もっとイニングを稼がないといけない。ノーヒットノーランがベストだと思うので」と言った。いつか、淡々とやってのけそうだ。【栗田成芳】