青森大の1年生4番、安原健人内野手(天理)が大爆発だ。6回にランニング満塁本塁打を放つなど2安打4打点で青森中央学院大を9-0(7回コールド)と圧倒。チームを開幕2連勝に導いた。昨夏の甲子園で4強入りした天理(奈良)では15打数6安打6打点2本塁打で打率4割をマーク。大学は関西から北上して東北の地を選び、開幕2戦で9打数4安打6打点と気を吐いている。

 無我夢中だった。5-0で迎えた6回2死満塁。4番安原は初球の外角低め直球を逆らわずに、逆方向のライトへ強く振り抜いた。相手右翼手が猛チャージで突っ込むも、手前でバウンドした当たりを捕球できず、打球は転々と後方へ。その間、安原は野獣のごとくベースを蹴り上げて激走し、余裕でホームに生還。大学初本塁打を異例のランニング弾で飾った。

 安原 少年野球以来です(笑い)。後ろにそらしたのは見えた。よーし、いけると。二塁回った時点で、ホームいける! ってベンチからも声が聞こえてきた。次は柵越えを打ちます!

 覚悟の青森行きだった。安原は昨夏の甲子園で打率4割、2本塁打をマークするも、憧れだったプロ入りを断念した。夏以降に進学へ切り替え、元近鉄の天理・中村良二監督(49)から青森大を紹介された。大阪・富田林市出身の安原は思わず「遠くないすか?」と本音が出たものの、恩師の「関係ないから行け!」のひと言で、関西を離れて青森へ旅立つ決断をした。

 雪に度肝を抜かれた。事前練習が始まる2月から合流すると、青森は一面雪景色。「積雪2メートルに興奮してたけど、3日目からは飽きた」。そんな環境にも負けず、3月のオープン戦からは思い切りのいい打撃が評価された。全戦で4番に抜てきした三浦忠吉監督(36)は「俺が決めてやる、という気持ちがすごい。初球から振れるので、先輩たちにもいい影響が出ている」と相乗効果を強調する。

 憧れのプロ入りを達成することで、青森大へ来た決断を肯定する。「自分に与えられた道は、すべていい方向に進んでいると思ってやっている。4年後、プロを目指す」。関西出身の魅惑の大砲が、青森経由で夢を実現してみせる。【高橋洋平】

 ◆安原健人(やすはら・けんと)1999年(平11)5月9日、兵庫・西宮市生まれ、大阪・富田林市育ち。喜志西小4から野球を始め、喜志中では富田林ボーイズに所属。天理では1年秋からベンチ入り。3年夏の甲子園では正一塁手で4強進出。183センチ、85キロ。右投げ右打ち。家族は両親、妹。