ロッテ荻野貴司外野手(32)はネクストバッターズサークルから目を光らせていた。2点リードの4回2死二、三塁。「(内野が)ちょっと後ろ気味だった。狙っても面白いかなと」。初球にセーフティーバント。一塁寄りの絶妙な位置に転がすと相手の失策も誘い、二塁走者までホームに迎え入れる2点を奪った。

 試合前の時点で得点圏打率は1割台。「チャンスで打ててなかった。何とかしようという気持ちだった」と明かした。観察の上で覚悟を決め、武器の足を生かした一打。過去7戦で通算0勝6敗の天敵バンデンハークを揺さぶって崩す、効果十分な勝負手だった。

 反省を生かした。開幕から「1番中堅」を託されてきたが、17日オリックス戦でスタメン落ち。「受け身になってしまい勝負出来ていなかった。次に使ってもらえたら、しっかりやらないといけない」と自戒した。持ち味は好球必打の積極性。初回は2球目の甘いカーブを逃さず中前へ。二盗も決め、先制点の起点となった。今季の40安打中、3球目までが28本。本来の姿を取り戻して打線を勢いづけ、先発全員安打での快勝につなげた。

 井口監督も「荻野は自分の判断でセーフティーを決めて、足を絡めていい形で得点できた」と目を細めた。今日20日は12年5月以来のソフトバンク戦本拠地3連勝がかかる。「いい感じで振れているので続けていきたい」と引き締めた荻野が、浮上へのリードオフマンとなる。【佐竹実】