チョレイ弾がさく裂した。楽天藤田一也内野手(35)が、今季1号を放った。2点リードの7回に代打で登場すると、ダメ押しのソロを右翼スタンドに運んだ。オフに動体視力を高めるため、卓球トレーニングを導入。仙台出身の張本智和(14)から飛躍のヒントを得たベテランが、打球をピンポン球のごとく、かっ飛ばした。

 雄たけびとまではいかなくとも、全身で喜びを爆発させた。楽天藤田は、ベンチで仲間から手荒い祝福を受けた。頭をポンとたたかれ、子どものような笑顔は止まらない。「初めてですわ」。人生初の代打ホームランに驚いていた。

 2点リードの7回1死走者なし。渡辺直の代打でコールされた。今季34試合目、99打席目。カウント1-1だった。147キロの直球にラケット、いやバットを迷いなく振り抜くと、打球は右翼スタンドで大きく弾んだ。「チョレイ効果すね」と、得意げに笑った。

 鍛えてきた「右目」で、ソフトバンク二保の速球を捉えた。今年の自主トレで卓球トレーニングを導入。「動体視力の衰えを感じる」と、視力は左右ともに1・2以上あるが、さらなるレベルアップを図った。そこで注目したのが、仙台出身で楽天ファンの張本。「同じ仙台にゆかりがあるしね。ブームだから」とお手本とした。

 右投げ、左打ちの藤田。より打撃に感覚を近づけるため、卓球では右打ちではバック、左打ちではフォアに挑戦した。「打席と同じ感覚で、スピードに慣れることが大事」と、右目で高速のピンポン球の動きに目を慣らした。卓球のワールドツアーで史上最年少優勝を果たした張本の軽快な動きを頭に描きながら、何度も何度も打ち込んできた。

 7月で36歳。「0からやり直す。体も作り直す。レギュラーを取り返す気持ちでやりたい」と、プロ14年目のシーズンをスタートさせた。一塁が本職の銀次が二塁で起用されることもあり、なかなか定位置奪取とはいかないが「これからも頑張るだけ」とベテランらしく、地道にポイントを積み重ね、卓球のリターンエースのような活躍を目指す。【栗田尚樹】