いつの間にか“海賊”の波にのまれていた。日本ハムは、先発の高梨裕稔投手(27)が6回を7安打4失点(自責2)で今季3敗目。1点リードの4回に逆転2ランを浴びると、6回には自らの失策も絡んで決定的な2点を失った。登板6試合連続の被弾。飛球で打ち取るタイプの投手とはいえ、リーグワーストタイの11被弾と1発に泣いている。打線は相手投手陣に14三振を喫するなど、2点を奪うのがやっと。2-5と、先制しながら惜しい星を落とした。

 生ぬるい雨が落ち始めた6回、何かが起こりそうな気配はあった。2万8922人で埋め尽くされ、真っ青に染まった横浜スタジアムは不気味だった。高梨は、DeNAの4番筒香に左前打され、この日5度目の先頭打者出塁を許した。「ピッチングのリズムに、なかなか乗れなかった」。続く5番宮崎の打席で犯したミスで、傷口はさらに広がった。大きく跳ねた投ゴロをグラブではなく素手で取りに行き、まさかのお手玉。「焦って手で取りにいってしまった。グラブで取りにいっても間に合ったのに」。悔やんでも遅かった。

 失策でピンチを招くと、2死二、三塁から、代打中川大に初球を痛打された。ちょうど100球目。外を狙った145キロの直球が、ど真ん中に入ってしまった。「ファウルでカウントを取りにいこうとしたのが抜けて、真ん中に入ってしまった。僕の失投」。4回にもカーブが真ん中に入り、宮崎に逆転2ランを浴びていた。被弾は自身6試合連続。フライアウト投手とはいえ、リーグワーストタイの11被弾と1発に泣かされている。

 栗山監督は「ボールは良かった。何とか先に点を取ってあげたかった」と、開幕から必死に先発ローテーションを守る背番号39を思いやる。高梨は「もっと勉強をして、次に生かしたい」。自身3戦ぶりとなった黒星の重みを、しっかりと受け止めていた。【中島宙恵】