逆転満塁サヨナラ弾!の夢は幻に終わった。2点を追う阪神は9回2死満塁の好機をつくり、梅野隆太郎捕手(27)が左中間へ大飛球。観客総立ちの弾道だったがフェンス際で巨人亀井に好捕され、後半2連敗発進&借金5の重苦しさだけが残った。この日緊急昇格したウィリン・ロサリオ内野手(29)も出番なく、伝統の一戦は連夜の競り負けで、首位広島とは今季最大の9ゲーム差。逆転Vへ崖っぷちに立たされた。

 梅野が高々と弧を描いた間、一塁ベンチの誰もが逆転サヨナラ劇を夢見た。2点を追う9回、2死からマシソンを1安打2四球と攻め立てて満塁。追い込まれてから3球ファウルで粘り、甲子園のボルテージが一気に高まる中、最後は左翼フェンス際に大飛球。だが、巨人が敷いていた深めの守備位置にのみ込まれた。左翼亀井がジャンピングキャッチ。金本監督は試合終了直後、「最後は向こうの守備位置が…。同点オッケーの後ろだったから」と悔しさを隠しきれなかった。

 序盤は初物に苦しんだ。右腕ヤングマンは198センチから投げ下ろす140キロ後半の直球、驚くべき落差のカーブ、鋭く大きく曲がるスライダーともに絶品。それでもチーム1安打で迎えた4点ビハインドの5回、打線は反発力を見せた。低めに落ちるカーブに必死でこらえて好球必打を敢行。2安打1四球で1死満塁とし、8番梅野が追い込まれながらも食らいついた。高め146キロを強振。左中間フェンス直撃の適時二塁打を決め、力強いガッツポーズが反撃ムードを一気に高めた。「盛り上げられたらと思った。点を取れないときは何かきっかけがないといけない。そういうところからやっていきたい」。

 ただ、終わってみれば得点はこの2点のみ。ヤングマンに10奪三振を許し、チームは3連敗を喫した。2点を返した直後の5回1死二、三塁でもう1点でも取れていれば…。そんな問いかけに、指揮官は「言ったらきりがない」と多くを語らず。「球も速いしね。カーブも良かったから。そういう意味ではよく2点取ったなと思ったんだけど」と表現した。冷静に振り返れば、この日は相手が悪かったと切り替えた方が得策なのかもしれない。

 後半戦開幕から宿敵に2連敗し借金は5。首位広島に今季ワーストの9ゲーム差、2位巨人にも3ゲーム差をつけられた。今日18日の巨人先発は左腕メルセデス。この日1軍復帰したロサリオがスタメンに名を連ねる可能性も十分ある。9回に見せた粘りと勢いを、今度はゲーム序盤からぶつけたい。【佐井陽介】