記録は打ち立てた。でも勝負に負けた。通算100勝、100セーブ、100ホールドを達成した巨人上原浩治投手(43)が、同点の7回に登板。1イニングを無失点に抑えチームの士気を高めた。延長10回に岡本が本塁打を放ち一時勝ち越すも、広島下水流に逆転サヨナラ2ランを食らい暗転。上原はベンチでうなだれた。

 大ベテランが貫禄たっぷりにマウンドに上がった。同点の7回、満を持して上原の名前が球場に響いた。捕手宇佐見と一言二言を交わし、ゆっくりと持ち場に向かう。最大7点差の劣勢を追いつき、回ってきた出番。「同点の場面で、どうしても勝ちたいという思いだった。4回に3点入って、もしかして(登板する)と思った」と気持ちを高めていた。

 直球とスプリットだけで大記録を決めた。先頭の会沢を外角低めに沈む123キロスプリットで右飛。1死一塁で代打バティスタには3球勝負を挑み、137キロの直球で二飛。最後は田中を124キロのスプリットで左飛に打ち取り、大興奮のまま代名詞のハイファイブをさく裂させた。「とにかく0に抑えようと思ってました」とうなずいた。

 舞台は後輩たちが一丸でつくってくれた。7点を追う4回に陽、5回にマギーの3ラン2発で1点差と迫った。6回に2点差に引き離されても、直後の7回に吉川尚が2点適時打で食らいついた。記録達成後に大逆転勝利から一転、サヨナラ負けを突きつけられたが「追い上げ方とか、まだ自分たちも諦めてないですし、明日につながる戦いだった」。自らを鼓舞し、チームを鼓舞し続ける大ベテランが次戦に目を向けた。【島根純】

 ◆ホールド 勝敗、セーブのつかない救援投手が、セーブの条件を満たす状況、または同点の状況で登板し、1死以上のアウトを取り、リード(または同点)を保った場合に与えられる。日本では両リーグで05年から採用。大リーグはリードした状況で登板しないと記録されない。