DeNA平良拳太郎投手(23)が2つの壁を破った。2点リードの5回、この試合初めて得点圏に走者を進め2死一、二塁。直近3試合連続で4回2/3で降板し、今季2勝目を逃していた。ヤクルト青木への初球。外角低めに逃げるシンカーで打ち取った。「そこ(外角)が僕の生命線」。イニング間に右ふくらはぎに違和感を覚え、1度はマウンドに上がったが6回の投球前に降板した。

 5回の壁を越えた瞬間、体が悲鳴を上げた。それくらい、かけていたゲーム。前回登板から2週間、直球を見つめ直した。「キャッチボールから見直した。2日前の投球練習ではいい感じで投げられた。そのイメージを持って投げることができた」。直球を軸にスライダー系とシンカーをコーナーにちりばめた。5回4安打無失点80球。2カ月3週間ぶりの白星で、自身初のシーズン2勝目の壁も乗り越えた。

 7月の球宴休みに、地元・沖縄に帰郷した。2試合白星から見放された時期。リフレッシュをしながらも、頭の中は野球のことばかり考える。「なんで勝てないのか?」。かたや古巣・巨人では1歳年下の岡本が4番を張っている。「岡本は結果を残している。そこはずっと気にしています」。気まぐれにくるメールを発奮材料にしていた。

 チームも先発が定まらず9連敗していた火曜日“ブラックチューズデー”を打ち破り5位浮上。ローテの一角に名乗り出た平良は「長いイニングが理想。次はやり返したい」。新たな壁をつくり乗り越えていく。【栗田成芳】