ソフトバンクが連敗を2で止め、3位に浮上した。工藤公康監督(55)の勝負手がはまった。右肩故障から復帰した先発東浜巨投手(28)を4回でスイッチ。2番手で投入した石川柊太投手(26)が3イニングを9人で料理して流れを変えると、7回に松田宣浩内野手(35)の左前打で勝ち越した。負ければ自力優勝の可能性が消滅するピンチで踏ん張った。

 ソフトバンクが、負ければ自力V消滅の危機で何とか踏みとどまった。7回2死走者なしから一、二塁のチャンスをつくり、松田宣が左前へ勝ち越しの適時打。「チャンスだったので積極的に打ちにいった。追い込まれていたからフォークをマークしていた」と狙い通りに仕留めた。

 工藤監督の早めの継投が打線のリズムを呼んだ。この日の先発は右肩痛から74日ぶりに帰ってきた東浜。雨が降り続く悪条件の中だった。試合開始直後に26分の中断があり、その後もグラウンド整備を何度も行う中、2回に井上、角中に2者連続ソロ本塁打を浴びたが、それ以上の失点は与えなかった。東浜は3回には藤岡の打球を左足足首に受けた。工藤監督は足の負傷もあり4回81球で東浜をあきらめ、石川を5回から投入した。

 石川が本来のテンポのよさを発揮し5、6、7回と3人ずつ、わずか35球で「0」を3つ刻んだ。先発で結果が出ずローテーションを剥奪された。中継ぎとなり4日オリックス戦では延長10回に起用も1失点。それでも工藤監督はロング救援を託した。チームトップの9勝目は、ファームで再調整させず中継ぎに配置転換した首脳陣の期待に応えた白星となった。工藤監督は「あそこのポジションが一番力を発揮できる。力を発揮してくれて大きい」と喜んだ。

 8回加治屋、9回森がその1点を守りきり、接戦をものにする本来の工藤野球で勝った。ロッテと入れ替わり3位に浮上。工藤監督は「1点差の苦しいゲームだったが、勝って自信を取り戻すいいきっかけにしたい」と前を向いた。台風13号の影響で今日8日のロッテ戦は開催が危ぶまれる。10日から2位日本ハム、14日からは好調の楽天と本拠地ヤフオクドームで6試合行う。強い相手を倒さなければ浮上することはできない。【石橋隆雄】