新旧4番で虎を一蹴だ。「5番一塁」で6月17日以来のスタメンとなった巨人阿部慎之助内野手(39)が、1回に決勝6号3ランを放った。阪神先発才木の高め直球を捉え「打った瞬間」のパワーを披露。本塁打した投手が歴代単独2位の通算227人目となり、健在をアピールした。直前に二塁打を放ちお膳立てしたのは4番の岡本。中軸が機能するとやはり強い。

 誇らしげに人さし指を突き上げた。阿部が貫禄の一撃を右翼席中段に放り込んだ。1回2死二、三塁。阪神才木の外角高め147キロを白木のバットでつぶした。「久しぶりのスタメンで少し緊張した。追い込まれたので、変化球も頭の隅に置きながらだったけど、高めをうまく上からたたくことができた」。6月17日ロッテ戦以来のスタメン起用に一発回答で応えた。

 またも新顔を餌食にした。プロ通算394号で400号の大台まで残り6本。19歳の才木を新たに加えた、延べ227投手が“本塁打コレクション”にずらり並んだ。阪神金本監督を抜き、歴代最多のローズ(元近鉄など)まで、あと1人と迫った。「積み重ねたものもあるけど(人数は)たまたま。スコアラーさんが映像とかデータを作ってくれる。サポートのおかげ」とスタッフに感謝した。

 経験にあぐらをかかずに練習に励む。前々カードのDeNA3連戦はチームが3連勝も出番は1度もなかった。「練習して得はあっても損はない」と東京ドームでマシン相手に打ち込んでから横浜スタジアムに向かった。「出番があるか、ないかは試合の流れもある。『いけ』と言われたところで結果を出せるように準備するだけ」と当たり前のように言った。

 今季6本塁打は、すべてスタメン出場時に放っている。さらに代打でも14打点を積み上げ、切り札としても存在感が際立つ。この日も試合を一振りで試合を決め「今日は突如スタメンが決まったので心臓がバクバクだった。2打席目にふくらはぎがつったよ」と自虐的に笑い飛ばした。「代打阿部」も「スタメン阿部」も大きな戦力に変わりない。【為田聡史】