日本ハムが誇るリードオフマンが、5戦連続勝ち星のなかった楽天相手に先制パンチをぶっ放した。西川遥輝外野手(26)が楽天15回戦(札幌ドーム)の1回、15年5月2日ロッテ戦以来となる先頭打者弾。自己最多に並ぶ9号ソロで、チームを勢いづけた。今季西川が本塁打を打てば、勝率は100%だ。首位西武とのゲーム差は4のまま。背番号7の一撃が、チームを再び加速させる。

 高校野球ムードを盛り上げようと、試合前に北海高の吹奏楽部がグラウンドで「アフリカン・シンフォニー」を奏でてから、間もなくだった。同曲の応援で知られる智弁和歌山出身の日本ハム西川が1回、楽天古川の5球目を捉えた。体に巻き付くようなフルスイングで、内角高めの142キロ直球を右翼席へ。自身、3年ぶり2度目の先頭打者アーチは、自己最多に並ぶ先制の9号ソロとなった。

 「偶然ですけど、うれしかったです」。スピードを緩めることなくダイヤモンドを回る間、笑顔はない。試合は始まったばかり。「僕はホームランバッターじゃないので。スタンドに入って、ようやく本塁打だなと思った」と振り返った。

 延長戦の末、引き分けた前日の楽天戦では、3度、得点圏で凡打に打ち取られていた。「最近、なかなか打てなくて、もどかしい気持ちがあった。1本の本塁打より4本の安打の方がうれしい。その方が自分も元気が出るし、チームに活気が出て来ると思う」。だから、なのか。表情は硬いまま。リードオフマンとしての使命感が、自己採点を厳しくする。

 後輩思いの“兄貴キャラ”は、チームに自然と一体感を持たせている。今季チーム最多10勝を挙げている1学年下の上沢は「試合中に『今のボールは、いやらしいわ』とか、打者目線のアドバイスをくれる。すごく参考になります」と、感謝する。そこに、投手と野手の垣根はない。

 3年前の先頭打者弾は、今となっては同僚の藤岡から放った。プロ8年目で初の2桁本塁打も視野に入ってきたが「本塁打を打とうと思っているわけじゃないので」と、素っ気ない。ただ、これだけは、言える。今季、西川が本塁打を放った試合は、勝率100%。リードオフマンのアーチが、勝利を呼び込む。【中島宙恵】

 ▼西川が自身3年ぶり2度目の初回先頭打者アーチ。前回は15年5月2日ロッテ戦(QVCマリン)で、現在チームメートの左腕藤岡の初球を右翼スタンドに運んだ。今季のチームでは、6月23日楽天戦(楽天生命パーク)に杉谷が岸から放って以来、2本目。

 ▼西川が本塁打を放った試合は今季9試合全勝で、昨季の6号満塁弾を打った8月17日ロッテ戦(札幌ドーム)からチームは13連勝中だ。