阪神才木浩人投手(19)が1発に泣いた。1回2死二、三塁で、20歳年上の巨人阿部慎之助内野手(39)に貫禄の3ランを被弾。2回以降は踏ん張り6回3失点でしのいだが、打線の援護なく5敗目を喫した。チームの連勝も3でストップさせてしまった才木だが、テレビ解説の松井秀喜氏(44)は潜在能力を絶賛。痛恨の1発を次こそ生かす。

 痛恨の1発を浴びた。才木が立ち上がりの改善ができず、阿部に特大の6号3ランを浴びた。初回、2死二、三塁。5球目、147キロ直球が高めに浮いた。右翼席中段へのスタンドインを見届けると、マウンドでぼうぜんと立ちつくした。プロ18年目で394本目となるアーチ。貫禄十分のベテランに完璧な放物線を描かれ「自分のミスです」と力不足を痛感した。

 泣いたのは1球だけだった。その後は巨人打線を封じ込め、6回6安打3失点で粘りきった。「もちろん反省はある。ただ、変化球で組み立てていけたり、いいところもあった。それだけに、初回に失点するのがもったいなかったです…」。試合後、丁寧に言葉を選んで吐きだした。

 光るものは確実にある。潜在能力の高さを認めたのは、ネット裏の“ゴジラ”だ。この日、テレビ中継でゲスト解説を務めていた松井秀喜氏は「150キロを超えるストレート、素晴らしいフォークボール。非常に可能性を感じさせてくれる」と、粗削りながら将来性豊かな球を高く評価した。

 ただ、チームも自身も、欲しかったのは勝利の2文字。それだけに、唯一の失点を喫した初回が悔しくてたまらない。

 「立ち上がりに四球を出したくないという意識を強く持ちすぎて、甘く入った直球を狙われた。初回に点を与えてしまうのは、本当にもったいない。前回(1日中日戦)の高橋周平さんのときと同じで、インコースに攻めきれなかったのが本当にもったいなかった」

 チームの連勝は3でストップ。反省の言葉は止まらなかったが、まだ高卒2年目。ゴジラも認める19歳右腕が、悔しさを糧にまた成長する。【真柴健】