期待通りの新戦力だ。ソフトバンクのアリエル・ミランダ投手(29)がオリックス戦に来日初登板初先発。5回2/3を2失点で初勝利を挙げた。最速146キロの直球とチェンジアップ、スプリットなどの変化球を低めに集めた。「打者に積極的に投げられた。こういう投球ができてうれしい。自分の野球人生の中でも重要な1日になったよ」と笑った。

 7月16日に来日。3軍で1試合、2軍で3試合登板し、約1カ月後にようやく1軍での出番が巡ってきた。野手の好プレーが出るとその選手に向かってグラブをたたき感謝の気持ちを伝えた。「チーム一体となって投げられて満足」と、7点の援護をくれた仲間たちにすぐ溶け込んだ。

 工藤監督も「さすが向こうでやってきただけあって、低めへの意識も強い」と制球のよさを評価。キューバ出身でメジャー通算13勝の左腕は、日本での1勝のウイニングボールも米国マイアミの自宅に大事に飾る。16年のシーズン途中から今春までマリナーズでプレー。「(同僚の)イチローや岩隈は友達」と話し、岩隈からは「アリガトウ」という言葉を教えてもらった。

 だが、まだ恥ずかしさがあるのか、ヒーローインタビューでの第一声はスペイン語で「グラシアス(ありがとう)」、試合後の取材の終わりには英語で「サンキュー」と締めた。工藤監督は「初登板でいい投球をしてくれた。次回の期待も高まります」と、救世主として期待。チームは連勝で7月19日以来の貯金3とした。現在ファームのデスパイネやモイネロとの外国人枠争いもあるが、先発左腕ミランダは大きな戦力となりそうだ。【石橋隆雄】

 ◆アリエル・ミランダ 1989年1月10日、キューバ・ハバナ州生まれ。07年から13年までキューバリーグでプレー。亡命を経て15年にオリオールズとマイナー契約。16年にメジャーデビューし、同年7月にマリナーズ移籍。今季はメジャーで1試合の登板で勝ち負けなしの防御率1・80だった。メジャー通算は13勝。家族は妻タイニーさん、双子の長男アディエルくん、次男アドリエルくん。188センチ86キロ。左投げ左打ち。