日本ハム清宮幸太郎内野手(19)が、104日ぶりとなる2号2ランを放った。1軍に緊急昇格して即「6番DH」でスタメン起用され、7回に右翼席上段へ5月9日オリックス戦以来の本塁打をマークした。大敗で3連敗と失速中のチームに一筋の光をもたらした。

 1934年。ベーブ・ルースが沢村栄治に抑えられた草薙球場で、清宮は復活ののろしを上げた。7回1死二塁。ど真ん中の138キロ直球を、完璧にとらえた。「もう、行ったな」と、確信した打球は、右翼席上段まで飛んだ。5月9日以来の2号2ランだった。

 試合前には同球場にあるルースの像を訪れ、活躍を誓った。栗山監督からは「ホームランを打てばいい」と、ハッパを掛けられていた。先人に約束し、同監督の期待にも応えた。

 緊急昇格だった。前日20日、右肩肉離れのため中継ぎ投手井口の離脱が決まり、栗山監督は迷わず清宮を選んだ。右肘炎症のリハビリ中で守れないルーキーの再昇格に、難色を示す意見もあった。「大反対も含め、みんなをねじ伏せた」と、最後は監督の専権事項として、押し切った。

 「宣誓。私たちは野球を愛しています」

 早実の主将として昨年の東・西東京大会の開会式で選手宣誓してから約1年。甲子園100回大会終了の日に、昇格し、アーチを懸けた。静岡は、父克幸さんが監督を務めるヤマハ発動機ラグビー部もある。北砂リトル時代に世界大会で本塁打放ち、米メディアに「和製ベーブ・ルース」とも評されたのも同地だ。清宮は再出発の1日を「充実した1日だったと思います。いろんな縁が重なって、ホームランが打てたと思います」と、話した。

 1発の後、両手を広げて首と腰を左右に振る「キヨダンス」も1軍で初お披露目。ただ、やや控えめだったのは「打てたのは良かったけど、チームの勝利が絶対」という信念があるからだ。大敗の中で描いた大きな放物線は、一筋の希望の光となった。【木下大輔】

<ゴジラ級ブランク>

 ▼DHで出場の清宮がプロ2号。1号を打った5月9日オリックス戦は5番一塁で出場しており、DHで本塁打を放った高卒新人は14年8月15日森(西武)以来2人目。1号から2号まで100日以上のブランクがあった高卒新人は、1号が5月2日、2号が8月31日の93年松井(巨人)以来。松井は最終的に11本塁打だったが、清宮は残り試合で何本打てるか。