阪神がずる賢い攻撃で奪った勝ち越し点も実らなかった。シーソーゲームの末に敗れた。金本監督は椅子に腰を落とし、敗戦のなかでの収穫も挙げた。「スクイズを一発で決めたり、食らいついて梅野がボテボテのゴロを打ってくれたりとか。タイムリーではないけど、いい点の取り方をできた」。試合中盤まで、しぶい点の取り方で先行した。

同点に追いつかれた直後の6回、先頭伊藤隼が中前打で出塁すると指揮官が動く。鳥谷への初球にエンドランを敢行。痛烈なゴロで引っ張り、右前へ運ぶと好機は一気に無死一、三塁に広がった。打席にはバントがうまい梅野が向かう。ベンチから仕掛けるタイミングを、図っていた。初球のボールを見送り、2球目を豪快に空振り…。3球目だった。梅野は機敏にバットを立て、バントを一塁側に転がした。三塁走者伊藤隼が猛ダッシュで本塁へ。捕球した一塁ビシエドは本塁送球を試みようとするが、あきらめた。鮮やかなセーフティースクイズを決め、再び勝ち越し点を奪った。

梅野 ああいうところで自分の仕事を一発回答することができたのは、自分にとってもチームにとっても良かった。チャンスをモノにしていかないといけないないので、良かったです。

先発吉見とは16年以来、2年ぶりの対戦だった。序盤から積極的に攻める。2回は糸井、ナバーロの連打で好機を築き、1死満塁になると、梅野が打った三ゴロは詰まり、先制点を奪った。同点に追いつかれた5回も、1死一、三塁で福留のゴロを二塁高橋がファンブルし、勝ち越していた。この日は適時打なしで3得点。安打だけに頼らずに得点する攻撃は、金本監督が就任当初から理想に掲げていたものだ。「しぶとくいけた。これからも大事にしてほしいですね」と手応えも口にした。

勝てば長期ロードは残り3試合を残して勝率5割以上が確定していたが失敗。2カード連続で●○●の負け越しを喫した。確実に上向いている打線を前面に押し出して反転攻勢を期す。【酒井俊作】