右打者ずらりオーダー実らず…。阪神が巨人メルセデス対策として右打者を7人並べる先発オーダーを組んだが、まさかの2安打完封負けを喫してしまった。5回まで無安打。結局、最後まで二塁すら踏めない完敗だった。浮上への足がかりをなかなかつかめず、虎が苦しんでいる。

難敵攻略のベストオーダーを組んだはずが、完全に裏目に出てしまった。先発メルセデスに散発2安打に終わり、巨人史上初の育成出身の完封勝利を献上してしまった。G党が沸く東京ドームの三塁側スイングルーム。金本監督は「やっぱり、良かったですね。球もよく動いているし、低めに来たりね。コースに決まったわね。『インカット』とかな。ちょっと厳しかったな…」と脱帽した。

ベンチの思惑が外れてしまった。データよりも感性を信じたが、この日は通用しなかった。試合前、メルセデスの左右打者への被打率にはある傾向があった。

右打者 1割8分6厘

左打者 3割3分3厘

サウスポーだが右打ちを封じ、左打ちに苦戦する特徴が出ていた。7月18日は7回を無得点で抑えられていた。この日は2度目の対戦。右打者を7人並べる打線を組んだ。指揮官は「もちろん、左投手だからというのもある。多少、左打者の方がいいというデータはあったんですけど。少ないデータですからね。そこまでの明らかなものというのはちょっと、まだ僕らは感じられなかった」と説明。1番は不動のレギュラーを張る糸原ではなく、俊足の植田を刺客に送り込んだ。

だが、プレーボール直後から難攻不落の予感が漂った。先頭植田が角度のある速球で懐を突かれ、足元をえぐるカットボールで空を切った。北條も同じパターンで2者連続空振り三振。この攻めを何度も繰り返され、右打者は23打席でわずか1安打。まるで歯が立たなかった。6回に先頭の代打ナバーロが中前へ。左打者のチーム初安打が巡り合わせの悪さを物語る。片岡ヘッド兼打撃コーチも「右のインコースに入ってくる真っスラ。あれが良かった」と険しい表情だった。

1度も二塁に進められなかった。6回無死一塁では植田がバント失敗。出塁してもしつこいけん制で二盗できず。指揮官は「外国人投手は足の速いランナーを嫌がりますから」と期待したが反撃の糸口にはならなかった。長期ロードは11勝11敗。残り2戦で何としても勝ち越したい。試合後は北條、植田、大山がバットを握って約40分の居残り練習。悔しさは打ってはね返すしかない。【酒井俊作】