赤丸急上昇! 広島丸佳浩外野手(29)が33、34号と2打席連続本塁打をかっ飛ばした。6回のソロでリーグトップのヤクルト・バレンティン、DeNA筒香と並ぶと、8回のソロで単独トップに立った。今季の進化を証明するように、いずれも逆方向にアーチをかけた。阪神に大敗したが、ヤクルトが敗れたことで優勝へのマジックは11となった。

右打者のような弾道と強さで、白球が降り続ける雨を切り裂いた。まずは6回。丸は阪神才木が2球続けた緩いカーブを捉えた。十分に引き付けて振り抜いたバットから弾かれた打球は、左翼席へ向かって一直線。劣勢の中で意地を見せると、8回には望月の152キロを完璧に仕留めた。外角低め真っすぐを強振。再び左翼席に突き刺した。

「どんな展開になっても、出来ることは限られている。しっかりできることを打撃でも守備でもやるだけです」

大差を追う展開でも集中力は途切れなかった。本塁打数は昨季の自己最多23本を更新し続け、2戦連発、1試合2発で34号とし、リーグトップだったバレンティン、筒香を抜いた。リーグ単独トップに「自分の中でもびっくりです。それはいいスイングができているということ。継続していくことが大事だと思っています」と謙虚に語った。

丸は今季ベンチで「“左本”狙ってきます」と宣言して打席に向かうことがある。“左本”とは「左翼への本塁打」という意味ではない。「左方向へ角度のある強い打球を打つ」という意味だ。迎打撃コーチは説明する。「いい打撃をすれば本塁打にはなる。いい角度で強い打球を打てるのはいい打撃。その意識付けもあって、口にしているのだと思います」。昨季打球の角度の付け方をつかみ、今季は左方向へ早くも15本塁打と量産している。

チームは敗れはしたものの、終盤に反発力を見せた。ヤクルトも敗れたため、マジックは1つ減り、11となった。先発が3戦連続5回降板の誤算も、この日は若手2投手でつなぎ登板過多の中継ぎ陣を休ませられた。緒方監督は「2試合続けてこういう展開になってファンの方には申し訳ない。また明日、切り替えてしっかり頑張ります」と口調を強くした。新キングとともに、広島は再び歩みを始める。【前原淳】