虎投に鯉キラー誕生の予感だ。2年目の才木浩人投手(19)がマツダスタジアムで初登板し、6回3安打1失点で今季5勝目を挙げた。5回には足のアクシデントで一時ベンチに下がったが、9奪三振の快投で今季広島戦2勝目。また後半戦はチームトップの3勝目と、その成長、とどまるところを知らない。

初めて上がったマウンドでのアクシデントも才木が乗り越えた。6点リードで迎えた5回無死二塁だった。磯村に対してカウント1-0からの2球目、外角直球で空振りをとったシーン。投げ終えた右腕がよろけた。右足がつってしまった。1度はベンチに下がったが、治療を終え、戻ってくると力強い直球を次々と投げ込んだ。

◆磯村 高め直球で空振り三振

◆代打バティスタ 完全なボール球だった高め直球のつり球で空振り三振

◆野間 3球勝負の外角高め直球で空振り三振

3者連続三振で切り抜けると、振り返りざまに雄たけびを上げた。大勝に導く6回3安打1失点の力投。今季5勝目を手にした。

「今日は野手の方がたくさん点をとってくださったので、すごく投げやすい環境で投げさせてもらったので、それが結果につながってよかったと思います」

首位を独走する広島の強力打線を封じ込めた。特に鯉は37勝15敗2分けとホームでの力強さが際立っていたが、初回2死一塁で4番鈴木を147キロの直球で空振り三振に。3回には丸を、こちらも直球で空振り三振に仕留めた。

この日の勝利で今季広島戦2勝目。虎の日本人投手が同カード年間先発2勝は16年能見以来だ。これには本人も「真っすぐで押せたところはすごく自信にもなりましたし、まだまだこれから精度を上げていかないといけない。もっと上のレベルを目指してやっていきたいと思います」とうなずいた。

もちろん、まだ制球のブレなど課題はある。だが、ブレーキの利いたカーブも加え、3試合連続120球超とスタミナもつき始めている。金本監督も「今日は才木がよく、心配せずにね、見ていられた。ちょっと逆球が多いけどね。左打者のインサイドとか。あそこさえできれば、ゆうに2桁勝てる投手ですから」と成長著しい19歳右腕を絶賛。6回に丸に技ありの1発を浴びて0封は逃したが、虎の逆襲のカードとして欠かせない存在となりつつある。【古財稜明】

▼才木は今季広島戦2勝目。阪神で広島戦に先発でシーズン2勝以上は、17年メッセンジャー(3勝)以来。阪神日本人投手では16年能見(2勝)以来。

▼才木は今季、得点圏での被打率がわずか1割9分。この試合で6度あった得点圏に走者を置いての投球で、4奪三振を含むノーヒット(1四球)と、ピンチで無類の強さを見せている。

▼才木はこの日、自身最多タイの1試合9奪三振。広島が今季マツダスタジアムで相手先発投手に奪われた最多タイの三振数でもあった(6月6日の日本ハム上沢が9奪三振)。