巨人高橋監督の指揮棒に、選手が自在に踊った。5点リードの最終回に登板したのは中4日のエース菅野。左翼席が沸く中で最速153キロをマークし、阪神打線を3人で制圧した。3日の辞任表明から6日。「10・9決戦」を制し、2年ぶりのCSの舞台にたどり着いた。「シーズン優勝という目標はかなわなかったが、何とかCSに出るという目標はみんなの頑張りで次につなげられた。選手に感謝したい」と周囲を思った。

Aクラス死守と迫るCS開戦の二兎(にと)を追わなければならなかった。菅野の強行先発の手もあったが、限定起用の守護神に回した。逆算して畠を6回途中から投入。シーズン終盤にクローザーを担った山口俊を7回からまたがせた。菅野も1イニングなら疲労を最小限にとどめ、13日のCS初戦の先発へ中3日空く。先発メルセデスも74球で中4日となる2戦目先発に余力を残した。完璧な調和が取れた継投。指揮官は「菅野で締める展開に持っていきたいと。体もきつかったと思うが、よく頑張ってくれた」とたたえた。

誰もなし得なかった挑戦が待つ。勝率5割未満のチームがCSを突破したことはない。「失うものはない」。メーク下克上へ、高橋監督が導く。【広重竜太郎】