「ミスター短期決戦」が本領を発揮した。体調不良で離脱していたソフトバンク内川聖一内野手(36)が1軍復帰でいきなり結果を残した。3点リードの7回に代打で登場し、中前にクリーンヒット。満塁にチャンスを広げ、ダメ押し打につなげた。復活のキャプテンがチームに勢いを与えた。

内川の出番はチャンスで回ってきた。3点リードの7回1死一、二塁。代打のアナウンスに右翼席の鷹ファンが沸いた。西武平井の初球を鮮やかに中前へ。1軍復帰の一戦でいきなり「ミスター短期決戦」の貫禄を見せた。「緊張しましたね。バットを出したら当たりました。勝てたので良かったです」と笑った。満塁にチャンスを広げ、ダメ押しの一打を呼んだ。

8月中旬に離脱し、2カ月ぶりに戦列に戻った。首脳陣も選手も、誰もが口々に期待の声を上げた。9月下旬に1度は実戦復帰したが、直後に肩痛で後退した。もどかしいリハビリの日々。万全ではない中で「やっているだけです。予定が変わったわけではない」と淡々と話した。メニューにはなかった打撃練習をしたこともあった。もがきながら、10月に再び実戦復帰。若手とともにフェニックス・リーグにも参加し、ポストシーズンに合わせるように調子を上げた。不死鳥のように復活し、大舞台に戻ってきた。

CSでは、過去に3度のMVPを取るなど部類の強さを誇る。だが内川自身は「状況が毎日違う。短期決戦だからどうだというものはない」と冷静に分析する。得意とされる短期決戦を特別視しないからこそ、代打で待機というこれまでと違う役割にも対応した。「力になれればいいですね」。この場所に立たせてくれた仲間への感謝の思いもある。帰ってきた主将は控えめに、西武撃破を見据えた。【山本大地】