阪神矢野燿大新監督(49)が18日、大阪市内のホテルで就任会見に臨み、1年目での来季優勝を誓った。

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名選手、必ずしも名監督にあらず-。球界ではそのように言われることがある。はからずも阪神金本、巨人高橋両監督は、同じタイミングで職を辞することになった。名門球団を率いた2人に共通したのは、指導者としての経験不足だった。

金本監督は抜群の実績と知名度を背負って、その座に就いた。3シーズンの低迷を振り返った時、阪神幹部は「金本氏のような人材にコーチ業を託すわけにはいかなかった」と打ち明けたが、その見極めは的確だったのだろうか。

すべてが当てはまるわけではないが、最近はファームでの若手育成や、1軍コーチとして監督を支えるなど、指導者の経験を積んでから指揮を執った監督が成功する傾向が強い。かつては阪神にも方針としてあった。

矢野監督がウエスタン・リーグ開幕前の本紙インタビューで「自分はうまい選手ではなかった」と下積みを強調したのは印象的だった。

藤原次期オーナーはキャリアの有無に「それは大事だと思う。経営者も同じで、そのポジションで、常に決断することを求められる」と明確だった。

派手さはないが、コーチ、2軍監督のプロセスを踏んできたのは強み。現役時代にのべ6人の監督に仕えた実務派に、再建がかかる。【編集委員・寺尾博和】