「矢野流改革」第1弾は球児抑えプラン!! 阪神矢野燿大新監督(49)が19日、西宮市内のクラブハウスで、来季日米21年目の藤川球児投手(38)が守護神を務める可能性を明かした。藤川は今季主にセットアッパーで53試合に登板し、5勝3敗2セーブ、防御率2・32と活躍。今年はドリスが32セーブを挙げたが不調だっただけに、日米通算227セーブ右腕のクローザー復活案が浮上した。

いきなり矢野イズムがほとばしる「改革第1弾」のプランが飛び出した。前日18日に就任会見に臨み、矢野新監督は一夜明けも精力的に動いた。昼すぎに甲子園を訪れ、帰宅時は日が傾いていた。今季最下位の現実を直視し、来年の構想も練っている。藤川が守護神復帰を熱望していると伝え聞くと「言うてたん?」と思わず声を上ずらせた。

藤川が熱い思いを明かしたのは今季最終戦だった13日中日戦(ナゴヤドーム)の試合後、「全体のバランス、相手に劣らないリリーフ陣を考えたときに自分が一番、働ける場所がどこか。重要なところを目指さないといけないと思っていた」と胸中を吐露。来季、クローザーに挑戦する覚悟が見え隠れしていた。

矢野新監督は納得して言う。「後ろは決まっていないからね。現状。今年もドリスがやって。ドリスも、もちろん候補やし、今年の球やったら、球児でも『よし、いこう』という感じになるのは当たり前のことかと思うし。あり得るんじゃない」。昨季、セーブ王のドリスは今年、55試合で32セーブを挙げたが、7敗を喫するなど不安定さが際立った。来季も残留方針だが、守護神を「白紙」として、力量で判断する。

今季の藤川は主にセットアッパーとして奮闘。ドリスが高熱で離脱した6月16日楽天戦では2年ぶりのセーブも挙げていた。150キロ級の速球は往年の「火の玉ストレート」をほうふつとさせる。

球児と矢野。球団史上最多でもある日本球界225セーブの剛腕のすごみを誰よりも知るのが指揮官だ。現役時は名コンビとして、優勝した05年は2人で最優秀バッテリー賞に輝いた。9月下旬に藤川が右肘痛で一時離脱すると2軍監督だった矢野監督と話す機会があった。「プライベートというか、俺も監督をやると思っていないから普通に話はした」と振り返る。そして仰天の指揮官就任だ。矢野監督が見定める守護神球児の復活…。長い歳月をへて、新たなロマンを思い描く。【酒井俊作】