現役時代に戻ったようだった。「よしっ!」。中日与田監督が右手で力強いガッツポーズを2度決めた。日本ハム、巨人、ヤクルトと4球団が競合した大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)の交渉権を獲得した。紺のスーツに、淡いグレーのシャツ、紺とえんじ色が混ざったネクタイを締めての初仕事。全国の注目を浴びる中、「交渉権確定」の判が押された紙をつかみ取った。

「ほっとした。(根尾の)交渉権を得たんだと、力が抜けた」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。ウエーバー順のため、4球団の最初に抽選箱に右手を入れた。下から2つ目の封筒を引き上げ、開封を待った。「いくつか触って、感覚でこれだ! と思って引いた」。験担ぎに頼らず、現役時代にストッパーとして修羅場をくぐってきた勝負強さを発揮。今月5日に12球団最速で根尾1位を公表した熱い思いを実らせた。「うまくいかなかったら、ものすごくショックを受ける。運が良かった」。23年ぶりに中日に帰ってきた新監督が、いきなり大仕事をやってのけた。

二刀流については「本人の意志を尊重したい」の柔軟な方針をあらためて強調。「すぐにでも会いたい。1分1秒でも早く契約して欲しい」。今日26日には、自ら大阪桐蔭に指名あいさつに出向き、熱い思いをぶつける。【伊東大介】