巨人山口寿一オーナー(61)が広島から国内フリーエージェント(FA)宣言した丸佳浩外野手(29)へ最大級のラブコールを送った。28日、都内ホテルで行われたオーナー会議後に取材に応じ「最大限のリスペクトを込めて熱意と誠意を示している」と熱く語った。ここまでの交渉では出来高払いを含めて史上最大級の5年総額30億円超を提示しているとみられる。広島、ロッテとの争奪戦を繰り広げる中、球団トップ自らが熱意を込めて完全ロックオンした。

山口オーナーの口調に熱がこもった。FA交渉中の丸について問われると「非常に素晴らしい選手。高校2年の時、秋の関東大会の前に投手に転向し、優勝してセンバツの甲子園に出た。千葉経済大付属から広島カープに入って、高卒1年目の6月にウエスタン・リーグの月間MVPをとっている。本当に高校生のころからチームに貢献する選手」とプロ入り前の経歴にも言及。オーナーが一選手についてここまで詳細に語るのは異例だ。

広島、ロッテとの争奪戦を制することは簡単ではない。出来高を含めた5年総額30億円超を提示しているとみられ条件面では圧倒的にリードする。その上で「チームのことを思っている選手で広島カープを支えてきた、背負ってきた選手ですから元々たやすく獲得できるとは思っていない」とし「最大限のリスペクトを込めて熱意と誠意を示している。真剣に考えてもらえれば本当にありがたいと思う」。熟考中の丸サイドに球団トップとして誠意と同時に尊敬の念を強調した。

5年ぶりのリーグ優勝へ大型補強を敢行。ここまで中島、炭谷、新外国人クリスチャン・ビヤヌエバ内野手(27)を獲得した。だが「補強はまだまだ半ば。十分戦力を確保したと、言える状況ではない。抑えをどうするかという点も補強の努力が必要」と丸に最重点を置きながら、さらなる補強を進めていく方針も示した。伝統球団をつかさどる最高トップが最強戦力構築へ本気の姿勢を示した。【為田聡史】