新たな仲間の後押しを受けて「楽天浅村」が滑り出した。西武から楽天にFA移籍した浅村栄斗内野手(28)が1日、楽天生命パークのイーグルスドームで入団会見に臨んだ。同世代の則本、西武で一緒だった渡辺直がサプライズ登場。遠慮なく質問を飛ばした。背番号「3」と楽天史上最高額の4年総額20億円の大型契約を引っさげ、キャリアハイの数字を目指す。

もともと持っていた真っ赤なネクタイを締めた。髪は黒く染めた。ひげもそった。「楽天の浅村なので」と杜(もり)の都に来た。厳かな空気の中、午後3時から始まった入団会見。20分が過ぎ、報道陣の質疑応答も一巡した時だ。壇上の浅村、石井GMの顔に突如、笑みがこぼれた。

視線は正面ではなく、なぜか入り口の方に向けられていた。50人のファンに紛れて「浅村 3」のボードを持った則本、渡辺直のスマイルがそこにあった。マイクを手渡された西武時代の先輩・渡辺直は「かっこいいですねぇ」と放り込んだ。差し込まれた浅村は「…」。会場が笑いの渦に包まれた。

同学年の則本も続いた。今季打率5割3分8厘、2本塁打、7打点と打ち込まれた天敵が味方に変わる。「則本選手からたくさん打点を稼いだと思いますが、来季は僕が相手ではないですけど、大丈夫ですか?」。あっという間に和やかな雰囲気に変わった。浅村は「大丈夫です」と堂々と答え、ファンから「頼むぞ」の声が飛び交った。

数ある球団の中から、しかも優勝チームから、今季最下位の楽天を選んだ。「石井GMの『来てくれるだけで、楽天のためになる』という言葉が胸に刺さった」と決め手となった。家族的なイーグルスらしい温かい出迎えも受け「今日は本当にびっくりした」と笑顔を見せた。則本が「優勝チームのキャプテン。若手の手本となる」と期待すれば、同じく西武から楽天にFA移籍した先輩の岸も「アサがいるだけで、チームにとってプラスになる」と絶大な信頼を寄せている。

具体的な数字の目標がある。「ここに来たからには、キャリアハイの数字を残したい」。13年の打率3割1分7厘、今季の32本塁打、127打点を超える。「3冠王とかは意識していない。今季の成績は忘れて優勝のために頑張りたい」と力を込めた。【栗田尚樹】(金額は推定)