物を大切にする精神を胸に、育成からはい上がる。ヤクルトの育成2位、松本友内野手(23=BC福井)が5日、埼玉・戸田市内の選手寮に入寮した。「応援してくれている人がいるので、本当に頑張りたい」と決意表明した。

昨年末、福岡の実家に帰省した際、中学時代の先生から手紙と道徳教育についての冊子が届いた。8年前、道徳の授業で松本友が題材に取り上げられていたことが判明。兄健太さん(27)の、お下がりのカバンをきれいに使っていたことをテーマに「美しく輝く通学カバン~6年間の軌跡~」として紹介されていた。その知らせに「びっくりしました」と振り返った。

当時、制服のズボンや野球道具も、ほとんどが兄のお下がり。それが嫌だと思ったことはなく、物を大切にする精神が「意識していなかったけど、そうだったのかな」と自身の中に根付いていた。ヤクルトには、ドラフトで最後の10人目で名前を呼ばれた。まずは育成として道を歩むが、「(8年前に)先生が『プロ野球選手になってほしい』と書いてくれていて、感動しました。先生の思いも感じて頑張りたい」。グラブやバットを大切に、つらくなった時には「これを見て、初心を思い出したい」と先生の手紙を読み返すつもりだ。いのしし年生まれの年男。「いのししのように、突っ走っていきたい。1年目から、前に突き進んでいきます」と先生へ、地元へ、吉報を届ける。【保坂恭子】