日本ハムの王柏融(ワン・ボーロン)外野手(25=ラミゴ)が、“ベールに包まれたまま”新天地で始動した。

27日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷の室内練習場に初めて姿を見せ、約30分間練習を行った。だがストレッチ、キャッチボールを終えると、バットを握ることもなく引き揚げた。台湾球界で打率4割を2度達成している「大王」は、その実力を見せることなく、キャンプ地・米アリゾナ州へ向かう。

寒気がこもる室内練習場で、王が始動した。「新鮮です。台湾に比べたら、とても良い施設」と感動したが、この日の鎌ケ谷はマイナス1度を計測。前日26日に、沖縄・石垣島とほぼ同緯度の台湾から来日したばかりとあって「台湾は、こんなに低い気温はない。これも挑戦の1つ。新しい体験ですね」と笑った

台湾球界で歴代最高の打率4割1分4厘をマークした、“台湾史上最強打者”の日本での第一歩。初対面となる近藤、上沢らチームメートも王には興味津々だが、軽めのストレッチ、ウオーミングアップ、キャッチボールを終えると、わずか30分ほどで練習を終了した。周囲の“ひそかな”期待をよそに、バットを握ることもなかった。

今オフの自主トレはランニングやウエートトレを中心に消化してきたという。「開幕まで2カ月あるので急がなくていいかなと、ゆっくりやっていました。状態はいいけど、徐々にやっていきたい」。新天地での挑戦にも、余裕綽々だ。

打撃には自信を持つだけに、成功のポイントに挙げるのはコンディション維持。キャンプには体をケアするためマイストレッチポールも持ち込む。「まずは健康第一。ケガなく過ごしたい」。日本球界初の打率4割にも期待がかかるが「チームに貢献する方が大事。走攻守で、しっかりレベルアップしていきたい」と誓った。

日本語習得にも意欲的で「新聞記事やテレビを見て、これから学んでいきます」とチームになじむ努力もしていく。「(重圧は)必ずある。プレッシャーに負けずやっていきたい」と静かに覚悟を結んだ。ベールを脱ぐのは、まだ先でいい。【田中彩友美】