4番の一撃で暗雲一掃だ! 阪神大山悠輔内野手(24)が、ヤクルトとのオープン戦(神宮)の初回にリーグトップタイとなる先制の3号3ランを放った。「19年型猛虎打線」に火をつけ、9シーズンぶりにオープン戦で1試合5発が飛び出した。昨季、最下位確定など多くの苦汁をなめた神宮で大勝。29日からの開幕カードで対戦するヤクルトを退け、準備を整えた。

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4番大山は失投を見逃さなかった。初回1死一、二塁でヤクルト星のど真ん中への130キロカットボールを狙い澄ましてスイング。白球は高い放物線を描いて、左翼席に着弾した。手応えありの1発はリーグ最多に並ぶ先制の3ラン。ベンチ前でナインに迎えられ、背番号3はニンマリした。

「(本塁打は)よかったと思います。(4番は)そのとき、そのときの役割があるので、しっかり頑張ります」

初回から「94年組」が躍動した。ドラフト3位木浪聖也内野手(24=ホンダ)、同1位近本光司外野手(24=大阪ガス)の新顔1、2番コンビが連打で先制機を演出。このチャンスで同じく24歳の大山がガツンと一撃をかました。4番のアーチを皮切りに打線が火を噴いた。ナバーロ、糸原の連続アーチも飛び出して初回に一挙5得点。3回にはナバーロが2打席連発、梅野も1号ソロで続き、1試合5発をマークした。真夏の夜空ではないが、一足先に「神宮花火大会」をやってみせた。

昨季の神宮では苦い記憶を残した。チームとしては9月19日にV逸、10月8日には最下位が決定…。6月末には糸井が死球を受けて右足骨折で離脱し、岩田、岩貞の危険球退場などもあった。終盤にはヤクルト相手に公式戦10連敗フィニッシュ…。そんな苦手意識を拭い去るように、開幕カード前哨戦に2桁得点で大勝。「ヤク払い」に大成功だ。

勝利を呼び寄せた大山のアーチに、矢野監督は「全体的にいい打席が増えている。キャンプ、オープン戦の終盤になってきて、こういう形で入れるようになってきたというのは、いいこと。自信を持っていってもらったらいい」と背中を押した。開幕戦も4番起用が決定的。3番糸井、5番福留の頼もしいベテランに挟まれた若武者が、どっしりと構える。【真柴健】