阪神矢野燿大監督の伝統の一戦での初采配は完敗だった。1回に2点を失うと、3回は5失点。ガルシアの不調が誤算で、序盤戦で勝敗は決した。1度も主導権を握れず、なすすべなし。

「(巨人の)強さというより、今日は別にウチがちょっと。強さでやられた感じではない。ウチの力を出せなかった負け。別に巨人が強くて負けたとは思っていない」。強気なスタンスを崩さなかった。

劣勢でも前を向いた。7点を追う4回攻撃前。清水ヘッドコーチが円陣で口を開いた。「このままでファンは喜ばない。絶対に捨てちゃダメだぞ。このまま流れてしまうと去年の最下位のままだ」。打線は6回に奮起。3安打を浴びせ、3点を奪う意地を見せた。大敗ムードが漂っても、ベテラン福留を代えない。同コーチは「監督もあきらめてなかった」と代弁した。

この日は山口に苦戦。打線の状態は上向かず、チーム打率は1割6分1厘。オープン戦好調の1番木浪は開幕から14打席無安打で試練を味わう。指揮官が「1本も出ていないのは本人も分かっているし、焦るなと言っても焦る。乗り越えていくべき壁。状態は結果が出ていないからいいとは言いにくい」と言う。4番を託した大山も打率は1割4分3厘と停滞するが、引き続き主軸を任せる方針だ。

3日はメルセデスと対戦する。昨季、白星なしの2敗を喫し、防御率0・61と圧倒された。一筋縄でいかない難敵が相手だが、指揮官は「明日(3日)勝つことに全力を尽くしていく」と言い切った。執念のタクトで指揮官の巨人戦初白星を狙う。【酒井俊作】