<楽天3-1日本ハム>◇2日◇楽天生命パーク

創設15周年の楽天に在籍11年目の辛島航投手も「こんな寒さの中で投げるなんて初めてです」と笑うしかなかった。気温2度。指先はかじかむ…を通り越し「感覚は全然なかった」。雪による22分間の中断を挟んだことで「4回なのか、5回なのか。そういうのもよく分からなくなった」。それでも7回3安打無失点、8奪三振と最高の投球で本拠地開幕戦に白星の花を添えた。

なくなったはずの感覚を研ぎ澄ませ、シンプルな決めごとを貫いた。「軽く」。力を入れようとしても思うように入らない。入れることをやめた。「打者だって(寒くて)バチンと振れる感じじゃない。変に力を入れて、あっちこっちに散らばるより、ストライクゾーンにドンドン投げていこうと思った」。4回に日本ハム王を見逃し三振に仕留めた直球は129キロ。最後、鶴岡の懐をズバッと突いた104球目は127キロ。相手は反応できなかった。

もともと力でねじ伏せるタイプではない。緩急を自在に操る、繊細な世界で生きてきた左腕。かねて「変化球は散々投げてきたので、ある程度ごまかしながらできる」と話すなど、器用さは群を抜く。「大変でした。でも、寒いなりに何とかしのげたかな」。極寒というタフな条件に適応した「超軟投派」が模範解答を示した。【亀山泰宏】