阪神ドラフト3位木浪聖也内野手(24=ホンダ)が、プロ18打席目でプロ初安打をマークした。

黄色のジェット風船が飛んだ7回、1死から代打で登場。3球目、外角低めの136キロ直球をコンパクトに捉えて、打球をセンター前に運んだ。一塁ベース上では、感情が込み上げた。思わず両手を挙げてガッツポーズだ。

ただの1本ではない。待望の初安打となった。春季キャンプから結果を残して、首脳陣に存在感をアピール。オープン戦でも好調をキープしていた。オープン戦では12球団最多となる22安打を放ち、打率は3割7分3厘、規定打席到達者中3位。ドラフト入団選手のオープン戦打率5傑入りは、14年の首位打者井上(ロッテ)以来4人目で、阪神では初めてだった。

「キャンプが始まってから、ずっとやるべきことをやってきた。もちろん、自信がついた部分もある。でも、シーズンに入ってからが大切。練習からしっかりやっていきたい」

実力で開幕スタメンをつかみ3月29日は「1番遊撃」で先発出場。開幕戦からいい当たりを連発したが、無安打。2戦目はヤクルト先発石川の緩急自在の投球に苦しめられた。開幕3戦目は5回に代打鳥谷を送られて途中交代。好調をキープして臨んだ開幕カードだったが、Hランプは灯らなかった。

それでも矢野監督は「(試合に)出られることが最高やから。いま結果が出ないことを生かすことが1番大事。長嶋さんだって(開幕戦の)丸だって4三振でしょう」と、ルーキーの背中を押していた。

その後も、なかなかヒットが出ず。1軍に同行しながら、午前中は2軍戦に出場する日々も送った。9日の2軍戦では鳴尾浜で初回に三塁打を放っており“プロ初安打”を記録。午後の甲子園では心なしか表情が明るかった。

「最初だけだったらダメだよ。プロに入って、続けることが難しいって思った。試合に出してもらっているだけで感謝。落ち込んでいてもダメだから、前を向いていきたい」

開幕から結果が出ず、プロ18打席目での記念の1本。悔しさを晴らした気持ちは、一塁ベース上でベンチに向かって突き上げた両腕が物語る。きっと、木浪はここから勢いに乗る。苦しんだ先には未来がある。【真柴健】