阪神4番の大山悠輔内野手(24)が、開幕13試合目で初の途中交代を命じられた。近本の適時打などで2点差に迫った7回2死満塁。ファンは一打大逆転を夢見たが、力のない三ゴロに倒れてため息が充満した。前日は1号も出たが、矢野監督は4打数無安打の主砲を直後の守備からベンチに下げる決断。13日も4番継続の方針だが、低調な打線を象徴する交代劇が苦しい3連敗を浮き彫りにした。

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4番が途中交代した。開幕からフル出場中だった大山が今季初めて試合中にベンチへ退いた。7回、打線が猛反撃で2点差に詰め寄り、なおも2死満塁。一打同点の好機が巡ってきた。だが、自らの間合いに引き込めない。谷元が投じた外角低めへのカットボール、カーブに空振り。あっさり追い込まれると、3球目は懐を突かれて、力負けの三ゴロ…。勝負は決まった。

一塁ベンチ横の会見室で矢野監督も未練ありげに言う。「あと1本というところまで行きましたけど、結果的にこういう試合になって、何とかひっくり返すところまで行きたかった」。終盤は押せ押せムードだっただけに悔いの残る凡退になった。指揮官は続ける。

「そういうところに回ってくる打順。ちょっと客観的に自分を見られる部分がね。ああいうときこそ、自分自身が『行く』気持ちと冷静になる部分が必要」

まだ劣勢で2イニングの攻撃を残しながら、矢野監督は大山の打順に3番手のジョンソンを入れた。指揮官は「打順のね。投手の兼ね合いもあるし。それで代えただけ」と説明。大山も無言でクラブハウスに消えた。前日11日DeNA戦で今季初本塁打を放ったが、状態は一進一退。今日13日以降も4番起用を貫く。

左腕先発へのアレルギーも大きな敗因だ。技巧派の笠原が仕掛ける「前後」の揺さぶりに惑わされた。1回に糸井が117キロチェンジアップにハーフスイングの三振。2回も福留が低めチェンジアップに空振り三振…。実力者が翻弄(ほんろう)され、苦戦を予感させた。5回まで無安打投球を許し、6回に1点を奪うのが精いっぱい。指揮官も「流れを自分たちで呼び戻して来ないと」と嘆いた。

今季は左腕先発を崩せずにいる。巨人メルセデス、高橋、広島床田、DeNA浜口…。いずれも白星を許した相手で、左先発6戦は5連敗の窮状だ。まだ序盤戦とはいえ、気にかかる。3連敗で、今季最多の借金3に増えた。【酒井俊作】

 

▽浜中治打撃コーチ「(大山について)チームを背負って4番を打っている。自分自身が切り開かないと」

▽阪神清水ヘッドコーチ(大山について)「4番を打つ上で、チャンスに強い打者になってほしいと思っている。あそこで決められる打者に、早く成長してほしい。4番を打つ以上、いろいろ書かれるだろうが、何としても本当の4番になってほしい」

 

▼阪神大山が、今季13試合目で初めて途中交代した。大山は今季すべて4番で先発フル出場していた。4番でのスタメンは17年、18年に計24試合あり、このうち途中交代は17年9月13日の巨人戦(甲子園)だけで、4打席3打数無安打で8回に投手の藤川を送られて交代している。