決意のエースが今季チーム初の完封で初勝利を挙げた。ロッテ涌井秀章投手(32)が16日、今季3度目の先発で10年7月16日以来の無四球完封勝利を収めた。2日の西武戦では5回途中5失点、9日オリックス戦では5回4失点と満足のいく結果が残せていなかった。故障や不調で開幕から先発ローテーションを守り続けるのは涌井のみ。今季から背番号を18に変更したエースが輝きを取り戻す。

  ◇    ◇    ◇

涌井は大声援に背中を押されて9回のマウンドへ向かった。3回途中からパーフェクト投球を続け、最後はソフトバンク牧原を遊ゴロに打ちとった。「9回上がった時にすごい大声援で送り出してくれたので、これはいけると思った。今は最高の気分です」と今季初勝利をかみしめた。

低めの内、外角に決まる直球がさえ、ソフトバンク打線のバットに空を切らせた。「最初の西武戦の時にコースを狙って、カウント不利が結構あった。前回の試合から、どうせランナー出すならフォアボールよりヒットの方がいいという昔に戻ってできた」とストライクゾーンで勝負。9回114球を投げ、2安打無四球完封に「自分1人で(投げきって)勝てたのが、また練習に前向きになるいい勝ちだったかなと思います。火曜にピッチャーを使うと後々中継ぎもきつくなると思う。久しぶりに仕事ができたかな」と充実感を漂わせた。

過去2年は負け越しが続き「エースが背負う番号。もっとそういう存在になれたら」と今季から背番号を18に変更し自身を奮い立たせた。開幕から登板した2試合で自身に白星がつかなくとも「別に。何もないよ。俺沢尻エリカでいくから。別に」と冗談をはさみ、平常心を保った。念願の初勝利にも「ボチボチ。まだまだこれからだと思うので」と浮かれる様子はない。最多勝3度の頼もしいエース涌井が帰ってきた。【久永壮真】

◆涌井が昨年4月26日楽天戦(楽天生命パーク)以来、通算12度目の完封勝利。無四死球完投は16年6月17日巨人戦(東京ドーム)以来13度目。

無四死球で完封したのは西武時代の10年7月16日ロッテ戦(千葉マリン)以来、9年ぶり4度目となった。涌井がソフトバンクを完封したのは、これも西武時代の10年5月7日以来2度目。