甲子園が、伝統の一戦が泣いている。阪神は平成最後の巨人3連戦の初戦で4-12と大敗した。2番糸井の超攻撃オーダーを組んだが先発メッセンジャーが5回途中6失点KOされ、3つの適時失策も出るなど目を覆う惨劇。今季の巨人戦は開幕4試合で合計37失点を喫し、開幕4戦全敗は平成初の屈辱だ。20日にも最下位転落の危機に陥り、猛虎の意地が試される。

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神宮で演じた1試合5本塁打の勢いが消えた。平成最後の巨人3連戦の第1戦は、平成最悪の悲劇になった。序盤の大量失点が響いて、追撃むなしく大敗…。開幕から巨人戦は●●●●が並ぶ。4戦4敗スタートは87年までさかのぼる。昭和62年以来、実に32年ぶりの悪夢になってしまった。

反撃ムードは一気にしぼんだ。3点差に迫った8回だ。桑原が山本に右中間適時三塁打を許して2点を失い、小林の飛球を中堅近本が落球適時失策、坂本に2ランを被弾…。6失点。大観衆はぞろぞろと席を立った。今季の巨人戦4試合で37失点の惨状だ。敗戦後、矢野監督も険しい表情で振り返った。「ジャイアンツと戦う意味では、投手がやっぱり頑張っていかないと」。苦渋の色がにじんだ。

勝負手で難攻不落の菅野に立ち向かった。昨季は6試合で3敗(2勝)し、防御率1・98に抑えられた。2番に糸井を置くサプライズオーダー。6点を追う6回は2死後、糸井の内野安打から一、二塁の好機を築くが、前日2本塁打の大山が菅野の外角低めスライダーに空を切った。同じく神宮で2打席連発の中谷を3番に入れ、昨季、菅野にアーチを浴びせた陽川を2軍から招集して7番で先発させたが、実らなかった。

打てない上に守れない。致命傷は遊撃北條の2失策だった。3点ビハインドの4回1死二、三塁。前進守備を敷き、北條がゴロを捕る。だが、本塁送球がそれて梅野が三塁側に身をよじらせる。その間に三塁走者田中俊の生還を許してしまった。その直後の一、三塁で丸の打球は二塁正面へ。4→6→3の併殺コースだったが、北條が一塁に悪送球…。いたずらに失点を重ね、勝機は遠のいた。

矢野監督も手厳しく振り返る。「全部、点になったんかな…。みんな普通に投げていればというところ。北條の2つはもちろん、そう。近本の落球もね。ああいうミスをして、流れがこっちに来ない状況になってしまう」。今季最多の12失点。昨季、大苦戦した甲子園で今年も2勝5敗だ。借金は再び今季最多タイの4個に増えた。あぁ、聖地が泣いている。【酒井俊作】