日本ハムの「勝利の方程式」が、チームの窮地を救った。ロッテ5回戦(ZOZOマリン)は、先発有原が7回のマウンドに上がった直後、アクシデントで降板。それでも中継ぎエース宮西尚生投手(33)が準備もそこそこに緊急登板し、1回をピシャリと抑えると、浦野博司投手(29)秋吉亮投手(30)が無失点でバトンをつないだ。1点のリードを守り切り、勝率5割に復帰した。

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ブルペンがせわしなく動いた。7回だ。経験豊富なベテラン宮西は、張り詰めた空気を察知していた。「有原が、危ないかも知れないと聞いた」。イニング間の投球練習を行おうとしていた有原にアクシデント。右ふくらはぎをつり、マウンドを降りた。宮西の準備はわずか10球。「(準備は)全く出来ていない」と苦笑いで振り返るが、貫禄を示した。

5番の鈴木、長打力のあるバルガスと続く打線。「1発だけは注意してと思っていた」。リードは虎の子の1点。必死に腕を振り、右飛、空振り三振に仕留めると、2死から1四球は与えたが無失点に抑えた。「『いけ』と言われたところで結果を出すことが中継ぎの難しさで、原点でもある。いきなり(肩を)つくれと言われても、慌てることはなかった」と胸を張った。

中継ぎエースの姿に引っ張られるように、続く8回に登板した浦野は3者凡退。最終回の秋吉も、走者を背負ったが無失点で締めた。栗山監督は「みんなよく頑張った。本当に大変だったと思うけど、頑張った」と惜しみなく賛辞を贈った。

守護神候補だった石川直らが不調で苦しむ中、現在のブルペンを支える「勝利の方程式」。無失点でバトンをつなぎ、チームを勝率5割復帰へと導いた宮西は、代表して言った。「今は野手が打撃に苦しんでいる。投手が苦しんでいるときは野手が打ってくれると思うから、その時まで頑張りたい」。抜群の経験値を誇る宮西を筆頭とした中継ぎ陣の奮闘が、勝利を強く引き寄せていく。【田中彩友美】