阪神近本光司外野手(24)が球団新人記録を打ち立てた。

3回に左翼線二塁打を放ち、13試合連続安打。赤星憲広氏と並んでいた阪神新人の連続試合安打記録を塗り替えた。5回に右前打、7回には左前打と今季3度目の猛打賞。打率をリーグ2位の3割4分まで引き上げた。悔しい敗戦で連勝ストップも、令和の虎を担う男が、そのバットで再び勝利を引き寄せてくれるはずだ。

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ニューヒーローの勢いは止まらなかった。3回1死、2ボールからの3球目。広島のエース大瀬良の直球を、左翼線へ打ち返した。俊足を飛ばし、悠々と二塁へ到達。「2ボールからだったので、しっかりファーストストライクから狙っていけたのが良かったです」。ついに赤星憲広氏を抜いて、虎の新人最多となる13試合連続安打を達成した。バットは止まらず5回、7回と3打席連続安打。今季3度目、そして虎の令和初の猛打賞にも輝いた。

同じ俊足の外野手。近本は赤星氏を理想の選手像としてイメージしてきた。「僕の中ではあまり気にしていないです。いいところで打てたらいいと思っていますし、それが毎日打てたらいいなという感じです」。記録超えには冷静だったが、また1歩、あこがれの背中に近づいた。

ドラフト会議が行われた昨年10月。近本の知名度は決して高くはなかった。甲子園を沸かせた中日根尾や日本ハム吉田輝に話題は集中。それでもドラフト1位で阪神に入団が決まると、連日取材は殺到した。高まる周囲の熱気の中で、近本は客観的に自分を見つめていた。「ドラフト1位で地元の選手だから、こういう風に取材してもらえていると思っている。これからは『僕を取材したい』という風に変えていきたいな、って思います」。そう誓った入団会見の日から約5カ月後、自分の実力で注目される選手となった。

本拠地甲子園では出場11試合すべてで安打を記録。打率は3割4分まで上がり、リーグトップの巨人坂本勇に5厘差に迫る2位となった。矢野監督も実力を再確認。「こういういいピッチャーからもしっかり打つというのも自信になるし、赤星の記録を超えたというのも大きな自信になると思う。本当に1つ1つ、そういうところから自信がついて、近本の実力になっていくと思う」。虎党の熱い視線は今、近本に注がれている。【磯綾乃】