ヤクルトが“4番”の活躍で、令和初の勝利を飾った。主砲のウラディミール・バレンティン外野手(34)を上半身のコンディション不良で欠く窮地を救ったのは、今季初めて4番に座った山田哲人内野手(26)だった。

初回にいきなり先制の適時二塁打を放ち、チームの連敗を2で止めた。打率3割1分4厘、出塁率4割9分7厘と、シーズン序盤からエンジン全開。前人未到の4度目のトリプルスリーを狙う、頼れる男がチームをけん引する。

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いつも通りの表情で、いつも通り打席に入った。初回無死満塁、山田哲は中日の先発又吉の2球目、内角の直球をうまくさばいて左翼線への適時二塁打とした。2点を先制し、ベース上でポンポンと手をたたいた。17年10月1日の中日戦(神宮)以来579日ぶりの4番にも「(初回が)大きかった。4番は全然、特別意識はしなかった。(普段の)3番とやることは一緒。先頭ならチャンスメークをするし、走者がいればかえす」とサラリ。期待に応える中軸の活躍に、小川監督は「山田が大きかった。大きな一打だった。今日は理想的な展開。エースが抑えて、4番が打った」と手放しで評価した。

シーズン序盤から、絶好調だ。4割9分7厘を誇る出塁率と、四球37はいずれも両リーグでトップ。シーズン当初は12連戦が控えていることを聞くと驚いていたが、「一番心がけている」という出塁は連戦中も続いている。個人では、2年連続4度目のトリプルスリー達成を目標に掲げる。好調でも「(調子は)分からない。また、17年みたいになるかもしれない」と開幕から不調に陥ったシーズンが常に頭をよぎるが、それでも試合は続く。今週は2カード連続のビジター。移動も多く「寝られる時は寝る」とわずかな時間も体力の回復に努めている。

連敗と、バレンティンが離脱した嫌なムードを拭った。1日のDeNA戦(横浜)の練習で、患部を気にしながらキャッチボールをする主砲の様子に気付き、真っ先に声をかけた。出場選手登録を抹消されたバレンティンに代わり、穴を埋める活躍が求められる。「多少(違いを)感じている。打たなきゃ、とか思う」。短い言葉に決意がにじんだ。「大事なところを任せてもらっているので、そのプレッシャーに勝てるようにしたい」。新4番が、チームの窮地を救った。【保坂恭子】