お待たせ! 広島野村祐輔投手(29)が7回を3安打、無四球無失点に抑える快投で自身、令和初勝利となる3勝目をマークした。広島県北部の三次で中日戦に先発。チームを今季2度目の8連勝&今季初の単独首位に導いた。ふがいない投球が続いていたが、得意の地方球場で16年から6連勝。3回以降は1人の走者も出さず、攻撃にリズムを与えた。好調先発陣に頼れる右腕が加わった。

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地方の鬼が、ワインで知られる広島県北の三次でよみがえった。広島野村は立ち上がりから同じ腕の振り、同じ軌道から各球種を投げ分け、中日打線を料理した。3回からは1人の走者も許さず、今季最長タイ7回を投げきった。3安打無四球で無失点。地方球場の連勝を6に伸ばす約1カ月ぶりの勝利で、チームは今季初の単独首位に立った。

「ゴロアウトが多かったので、自分の投球ができたと思います。今日は全体的にまとまっていた。球に力があったかなと思います」

試合前まで16年以降、地方球場6試合で5勝0敗と好相性だった。2回まで毎回走者を背負うも、マツダスタジアム同様に粘土質の土を入れられたマウンドは「気にならなかった」。尻上がりに調子を上げ、7回まで21アウトのうち12個のアウトをゴロで奪った。緒方監督も「中盤から球の切れが増した」と認めた。

先発生き残りをかけた登板だった。4月2勝から、5月は2連敗。微妙な判定もあり、3試合続けて5回以下で降板した。それでも「そうやって抑えてきた。そこで勝負するしかない」とスタイルを貫いた。直球は140キロ前後、空振りを奪う決め球はない。同じ軌道で各球種を投げる繊細さ、根気強さの渋味が魅力でもある。8年目の芳醇(ほうじゅん)な投球に、県北のファンは酔いしれた。

広島はエースに成長した大瀬良と復調したジョンソン、床田とアドゥワのフレッシュな新戦力が台頭した先発陣に引っ張られて上位に浮上した。そして出遅れていた右腕の復調で単独首位に立った。1月から禁酒を続ける野村は「まだ5月なのでね。これからもチームが勝ちを重ねていければ」と冷静だ。今秋も最高の美酒を味わうために、広島先発陣は熟成を重ねていく。【前原淳】