兵庫県勢対決となった一戦は、三菱重工神戸・高砂(高砂市)が、日本製鉄広畑(姫路市)を6-1で下し、近畿勢一番乗りで6年連続36回目の都市対抗出場を決めた。

ベテランの1発が試合を動かした。1-1の3回無死二、三塁からチーム最年長32歳、4番津野祐貴内野手(日体大)が「相手投手の一番良い球を狙った」とチェンジアップを捉え、勝ち越し3ランを右越えへ放った。これが決勝点となり、富光男監督(60)も「1点取って津野が1発で仕留めてくれた。序盤に点を取ってくれたらと。理想的な展開」と手放しで喜んだ。

「ベテランは使う方針」という指揮官の期待に応える活躍。今季3年ぶりに4番を務める津野は「若い選手が活躍するので負けたくない気持ちでやっています」とここ一番で意地を見せた。新チームが始動した昨年11月からはコーチを兼務している。「教える中で、自分の状態を再確認できたり、良い影響がある」。自身の中で「指導7割、プレー3割」の力加減で、チームの底上げにも注力してきた。「(試合に)出るからにはしっかりやらないといけない」と、勝ち越し弾は指導経験のたまものでもあった。

チームは昨年の本大会で大阪ガスに0-2で惜敗し準優勝。「去年の準優勝は自身よりも悔しい気持ちがチームに浸透している。今年はやり返したい」。頂点を目指し、頼れるベテランがチームの先頭に立つ。【望月千草】