オリックス田嶋大樹投手(22)が昨季6月17日DeNA戦以来、353日ぶりの復活勝利を手にした。約1年ぶりのマウンドにも堂々、強気の投球を続けた。最速146キロの直球を軸に変化球を低めに制球し、6回途中4安打無失点。昨季新人ながら6勝を挙げたスーパー左腕がチームに交流戦初勝利をもたらした。

「感謝しかないです。1年ぶりということで、チームに貢献できるようにしっかり投げることができた」

昨季は新人で開幕ローテ入りしたが6月に左肘の故障で離脱。リハビリ期間で新たな投球スタイルを身につけ、復活を果たした。「去年は上半身だけで腕をブン回して投げていた。今年は上半身と下半身の連動を意識して、なるべく力感のないフォームで強い直球が投げられるようにしました」。ダイナミックなフォームを変えることなく、体の使い方に変化を加えた。

約1年間のリハビリを経て「野球を楽しむ基本に戻れた」という。「去年まではやらなければいけない野球をしていた。(故障してから)投げられるようになっていく中で、『野球がおもしろい』と気づけました」。この日楽しんだ瞬間を問われ、4回1死から筒香に中前打を浴びた場面を挙げた。「ピッチャーやっているなという感じで、一番面白かった」と笑った。

この日の勝利で引き分けを挟んだ連敗も5で止めた。西村監督は「本当にいい投球をしてくれた。復帰して最初の試合で見事でした」とたたえた。登板間隔を空けるため1度出場登録は抹消される予定。チームの窮地に、頼もしい左腕が帰ってきた。【古財稜明】