ジョンソン離脱の危機に、阪神藤川球児投手(38)が立ち上がった。

8回を3者凡退に抑えると、9回もマウンドに向かった。今季初の「またぎ登板」。志願だった。先頭打者の日本ハム清宮に対し、初球にフォークボールでストライクを取ると、2球目は直球で押し、二飛に打ち取った。1安打されたが、2回を無失点。原口のサヨナラ打を呼ぶ好リリーフで、今季4勝目を手にした。

「原口のための試合だった。誰が見ても、そういう展開だった。ファンの方もよかったと思う。(またぎは)初めてじゃないんで。僕個人のことは何もない」

歓喜の余韻が残るベンチ裏の通路で、藤川はかみしめるように言った。原口のサヨナラ打を喜び、そして次世代のスター候補の存在が右腕を高ぶらせた。「あと何年できるか分からないが、1度勝負したい選手だった。実は楽しみだった。2点差、3点差なら、全球ストレートでやりたいと思った」。清宮との対決を心待ちにしていた。今カード、前日までの2試合をブルペンの映像で見ながら、思わず口に出した。「20年やってきた中で、1番だ…」。実際にマウンドから向き合って「確信した」という。

「あれだけ(打つ)ポイントが近くて、自分の打撃をしようとする選手はいない。ボールに見極め、バットの出し方。間違いなく、すごいバッターになる。日本の野球界にとって、めちゃくちゃ楽しみです」

2イニング投げたことは意に介さず、18歳下のスラッガーに、新たな刺激を受けた。「8回の男」が不在という不安をぬぐい去る快投でもあった。【田口真一郎】