甘いマスクに浮かんだのは、ちょっぴり悔しそうな苦笑いだった。DeNA神里和毅外野手(25)は狙った。「一応分かってはいました」と二塁打、ソロ、右前打でサイクル安打に王手をかけた6回2死。ロッテ東條の外角に沈むチェンジアップをはじき返した。

打球は左中間を真っ二つ。バウンドしながら、外野フェンスに到達した。「最初は(二塁で)止まろうと思ったんですけど(打球処理に)もたついた感じだったので。行けるかなと」と二塁を蹴って、三塁に向かった。中堅から遊撃と中継されて、白球が戻ってきた。三塁に滑り込む2メートル手前で三塁手のミットに収まり、ジ・エンド。タッチアウトで快挙は幻に消えた。

それでも好調の印は消えることはない。4安打1打点の活躍で打率は3割2分9厘に上昇。6月は4割7分4厘と勢いは続く。「何よりもタイミングが取れている。パの投手は球が速いので、それに負けないように」と手応えがある。加えて9日の西武戦で、秋山との会話の中から打撃のヒントを得た。「右手の使い方ですね。試合の中で試して、良い感じだった。今日も打撃練習で逆方向に飛ばせた」と3回の左翼へのソロにつなげていた。

大暴れのリードオフマンにラミレス監督は「1度出場機会を失って、それを取り返して自信を持っている。1度ポジションをつかんだら活躍し続けてほしい」と絶対的な存在への進化を願った。サイクルは逃しても、打線に欠かせないチームの顔に成長中だ。【島根純】