<スキルアップに役立つ最新の道具、練習器具をご紹介(3)>

先週に続き紹介する、アイデア野球練習道具を次々発売するフィールドフォース社(以下FF社=東京・足立区)のヒット商品に「スウィングパートナー」がある。1人でも理想のスイングをチェックできるティー打撃スタンドで、発売から8年ながらリニューアルを繰り返している。

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「スウィングパートナー」(以下SP=5800円)はティー打撃用のスタンドの先端に円形のダミーボールをセット。バットでたたけば「パチンッ」という心地よい音とともに前方にしなる。シリコン製ですぐに元のように自立するから、繰り返し打撃練習ができる。付属のボール受けに取り換えれば、通常のティー打撃もできる。

自ら3人の野球少年の父でもある開発担当の吉村尚記専務(44)は「1人でできる練習の代表が素振りですが、ボールを意識せず振りがちです。バットがボールをとらえるインパクトを素振りから体感させたかった」と話す。同じ思いの指導者は多かった。発売以来、安定して売れ続け、10万台を突破した。

リニューアルも繰り返し、今では内外角のコースを自由に設定でき、高さは75~115センチで調整できる。別売りの「SP・ロー」(3500円)を本体に付け替えると、50~60センチの低めを練習できる。ダミーボールを2本並べる「SP・レベル」(2500円)は、投球を線でとらえる理想のレベルスイングを目指す。

もう1本、高さの違うダミーボールをセットする「SP・軌道」(3800円)も登場。3つたたけば、ヘッドが最大限に加速する、クロソイド曲線を描く仕掛けだ。全米で話題の「フライ革命」を意識した「SP・バックスピン」(8900円)が昨年登場。ボールの中心よりやや下をとらえて飛距離アップを目指す。

次々進化するSPシリーズだが、ユーザーが1度は戸惑う点がある。強くたたくと、ホームベース形の台座が大きく動いてしまう。欠陥か? 吉村専務は「きちんととらえれば動かない。練習道具は少し難しいぐらいがいいんですよ」。説明書やカタログには「あなたは台座を動かさずミートできますか?」と目立つように書かれている。

SPシリーズをはじめ、FF社の練習道具は手頃な価格が多い。吉村専務は「必要な対価はいただいている。適正価格だと思っています」という。中国の自社工場での製造ライン確立の成果でもある。加えて、会社が成長しても、プロ野球選手と契約しないのが価格を抑える要因になっている。大手のように宣伝広告費としてプロに莫大(ばくだい)なアドバイス契約料を払い、高級な用具を次々無償提供すれば、商品の価格にはね返ってしまう。一方で各地の学童野球の大会に賞品を提供するなど、子どもたちには積極的に支援する。野球少年の上達が、自社を成長させると信じている。【久我悟】(この項終わり、商品の価格は税抜き)